育成型派遣とは?未経験人材を研修してから派遣する仕組みと企業側のメリットを解説

育成型派遣とは?未経験人材を研修してから派遣する仕組みと企業側のメリットを解説

営業を増員したい。求人を出しても、経験者の応募がなかなか集まらない。かといって未経験者を採用すれば、教育に割く時間も人手も自社にはない——。

この「採れない・育てられない」の板挟みに対する選択肢のひとつが、育成型派遣です。派遣会社が自社で人材を採用し、研修で基礎を身につけさせてから企業に派遣する仕組みで、受け入れる企業側は採用と初期教育の負担を外部に置いたまま、営業体制を増強できます。

この記事では、育成型派遣の仕組みと一般的な登録型派遣との違い、企業側のメリット・注意点を整理したうえで、IT営業未経験の人材が派遣先で立ち上がった実例を紹介します。想定読者は、営業の増員を検討しているIT業界のBtoB企業の営業責任者・人事担当の方です。

育成型派遣とは?登録型の一般派遣との違い

育成型派遣とは、派遣会社が自社で採用した人材に研修を実施し、基礎を身につけさせたうえで派遣先企業に送り出す形態を指します。法律上の区分ではなく、派遣サービスの提供モデルを表す呼び方です。

多くの人がイメージする「派遣」は、派遣会社に登録しているスタッフの中から条件の合う人をマッチングする登録型でしょう。育成型はここが根本的に違います。人材の起点が「登録」ではなく「派遣会社自身の採用」であり、派遣される前に体系的な研修を受けている点が特徴です。

  • 人材の起点:登録型の一般派遣=登録スタッフからマッチング/育成型派遣=派遣会社が自社で採用
  • 雇用形態:登録型の一般派遣=有期雇用が中心/育成型派遣=常用型(正社員・無期雇用)が中心
  • 教育:登録型の一般派遣=本人の経験に依存しやすい/育成型派遣=派遣前に体系的な研修を実施
  • 派遣先での立ち上がり:登録型の一般派遣=経験次第でばらつく/育成型派遣=基礎を身につけた状態で現場に入る

なお、育成型派遣は常用型・無期雇用派遣と組み合わせて提供されることが多く、この場合は派遣先にとっても実務上の違いがあります。無期雇用派遣は「派遣元で期間の定めなく雇用している派遣スタッフを派遣するもの」で、派遣受け入れ期間制限の適用を受けません(出典: BCC FAQ https://www.e-bcc.co.jp/faq/outsourcing/Indefinite-term/ )。

営業派遣そのものの仕組み・契約形態から確認したい方は、まずクラスターの基礎記事をご覧ください。

なぜ今「育成して派遣する」モデルが注目されるのか

背景はシンプルで、経験者採用の限界です。

営業経験と業界知識の両方を持つ人材は、そもそも母数が少ないうえに各社で取り合いになっています。特にIT業界の営業は、商材理解と提案力の両方が求められるため、条件に合う応募自体が集まりにくいのが実情です。

では未経験者を自社で採用して育てればよいかというと、これも簡単ではありません。BCCの営業派遣サービスページでは、企業側の課題として「未経験者を採用しても、IT商材の理解や提案スキルの習得に半年〜1年」かかるという実情が挙げられています(出典: https://www.e-bcc.co.jp/outsourcing/human-resources/ )。半年から1年、先輩社員の稼働を教育に割き続けられる営業組織は多くありません。教える側が現場のエース級であるほど、その間の売上機会も失われます。

採る力と育てる余力の両方が細っている。だからこそ、「育成のプロセスごと外部に持つ」育成型派遣が、経験者採用でも自社育成でもない第三の選択肢として注目されているわけです。

育成型派遣の仕組み:採用→研修→派遣→フォローの流れ

図: 育成型派遣の採用から研修・就業・フォローまでの流れ

育成型派遣は、おおむね次の4ステップで動きます。

  1. 採用:派遣会社が自社の基準でポテンシャルのある人材を採用する
  2. 研修:派遣前に、業務に必要な基礎スキルを体系的な研修で習得させる
  3. 派遣:派遣先の業務内容に合わせて配属し、就業を開始する
  4. フォロー:就業後も派遣会社が面談等でフォローし、定着と成長を支える

このモデルを具体的にイメージしていただくために、実例としてBCCの「BCC-LaPTプログラム」(ラプトプログラム)を紹介します(出典: https://www.e-bcc.co.jp/outsourcing/lapt-program/ )。

BCC-LaPTプログラムのLaPTはLecture and Practical Trainingの頭文字で、名前のとおり座学(Lecture)と実践(Practical Training)を組み合わせた2ヶ月間の研修プログラムです。「創業から現在までの経験とITのノウハウを体系化した実践型人材研修プログラム」と位置づけられています。

座学パートで扱うのは、大きく3領域です。

  • 営業基礎:ビジネスマナー、コミュニケーション
  • IT基礎知識:ネットワーク・サーバー・クラウドなど、ITインフラの基礎を体系的に学習
  • 提案スキル:ヒアリング力、課題分析

注目したいのはIT基礎知識の存在です。営業マナー研修だけなら多くの派遣会社にもありますが、ITインフラの基礎まで体系的に押さえるのは、IT企業への派遣に特化しているからこその設計です。派遣先で「サーバーって何ですか」から始まる人材と、基礎用語を理解したうえで商談に同席できる人材とでは、受け入れ側の負担がまるで違います。

実践パートは、先輩社員との同行営業から始まり、顧客対応の実践を経て独り立ちへと段階的に進みます。座学で学んだことを実際の営業現場で使いながら定着させる流れです。

さらに、配属が決まった後は配属先に合わせた個別研修を実施する場合があり、配属後も1ヶ月・2ヶ月の時点で面談によるフィードバックが行われます。研修を終えたら送り出して終わり、ではなく、現場に入ってからの立ち上げ期間まで設計に含まれているのがポイントです。

BCCの場合、こうして派遣される人材は全員が自社採用のBCC正社員であり、IT業界・営業の未経験者が8割以上を占めます。未経験者を前提に、育成のプロセス全体を派遣会社側が引き受けている構造です。

企業側のメリット

受け入れる企業から見た育成型派遣のメリットは、主に4つあります。

1. 採用と初期教育のコストを外部化できる

求人広告費、選考の工数、入社後の基礎研修。営業を1人増やすためのこれらの負担を、派遣会社側が引き受けます。自社は「どんな業務を任せるか」の設計に集中できます。

2. 基礎教育済みなので立ち上がりが速い

ビジネスマナーや業界の基礎用語を現場で一から教える必要がありません。受け入れ後のOJTは自社の商材・顧客に関する内容に絞れるため、教育役の負担が軽く、戦力化までの期間を短縮しやすくなります。

3. 自社雇用・無期雇用型なら長期の就業が見込める

派遣会社の正社員として雇用されている人材であれば、雇用が安定しているぶん腰を据えた就業が期待できます。前述のとおり、無期雇用派遣は派遣受け入れ期間制限の適用外である点も、長期活用の観点では大きな要素です。

4. 若手人材の供給源になる

経験者採用が難しい市場では、そもそも若手が採れないこと自体が組織課題になります。育成型派遣は、教育済みの若手人材を計画的に迎え入れるルートとしても機能します。

注意点と限界——料金が高めになる理由も含めて

良いことばかりを並べても判断を誤らせるだけなので、注意点も正直に書いておきます。

自社商材の専門知識は、配属後のOJTが必要です。研修でカバーされるのはあくまで営業とITの「基礎」であり、自社製品の仕様や顧客業界の商習慣までは事前に教えられません。受け入れ後に商材知識を渡す場は自社で用意する前提で考えてください。

料金は、登録型の派遣より高くなる傾向があります。自社採用の人件費、2ヶ月にわたる研修、就業後のフォロー体制。これらのコストがサービスに乗っているためで、いわば料金の差は教育投資の差の裏返しです。単価は人材のレベルや教育体制によって幅があるため、相場観だけで判断せず、金額の内訳と根拠を個別の見積もりで確認することをおすすめします。

もうひとつ、過度な期待は禁物です。基礎を身につけているとはいえ、配属直後から単独で受注を量産できるわけではありません。最初の1〜2ヶ月は立ち上げ期間と捉え、同行や商材レクチャーの時間を確保した企業ほど、その後の成果が安定します。派遣会社側のフォロー面談も、この立ち上げ期間を支えるための仕組みです。

導入事例:採用難の技術系企業で、未経験スタートの若手が立ち上がるまで

図: 育成を経て顧客と信頼関係を築くまでの成長イメージ

育成型派遣が実際にどう機能するのか、BCCの導入事例を紹介します(出典: https://www.e-bcc.co.jp/case/case-anonymity05.html )。

導入したのは、製造系の東証プライム上場企業の子会社。社員約350人のうち8割が技術系という会社で、営業はわずか5人。多忙な営業部門を増員したくても「条件に合致する人材の応募が少なく」、採用がうまく進まないという、まさにこの記事の冒頭で挙げた状況にありました。

同社が受け入れたのは、BCC-LaPTプログラムを修了した、IT営業未経験の若手人材です。配属前には、同社の商品・サービスに関する研修に加えて、ExcelやPowerPointでの資料作成研修まで実施されました。前述の「配属先に合わせた個別研修」が実際に機能した形です。

受け入れ後の評価として同社が語っているのが、「営業の業務やIT知識の基礎的な部分は、BCCで身に付けていた」という点です。基礎の習得が済んでいたため現場での立ち上がりが速く、この人材は基幹システム更新プロジェクトに参画。現在ではグループ企業3社の営業担当へと役割を広げています。

未経験からのスタートでも、派遣前の育成と配属前後のフォローが噛み合えば、1社の増員要員にとどまらずグループ横断で頼られる存在まで育つ。育成型派遣の設計思想がよく表れた事例です。

育成型派遣が向いている企業・向いていない企業

最後に、自社に合うかどうかの判断軸を整理します。

向いているのは、「教える土壌はあるが、採る力が足りない」企業です。

  • 商材知識を渡すOJTの場は用意できるが、母集団形成や基礎教育まで手が回らない
  • 若手を迎えて、中長期で営業体制を厚くしたい
  • 技術系社員が営業を兼務しており、営業専任の人手を計画的に増やしたい

こうした企業にとって、基礎教育済みの人材を受け入れられる育成型派遣は相性の良い選択肢です。

一方、明日から単独で商談を完結できる経験者だけが欲しい、という場合には向きません。育成型派遣は立ち上げ期間を織り込んで使うモデルだからです。経験者を自社の社員として迎えたいなら、就業を通じて見極めたうえで直接雇用に進める紹介予定派遣という方法があります。また、人材の受け入れではなく営業活動そのものを外部に委ねたい場合は、派遣とは別のスキームになるため、外部活用の形態比較の記事を参考にしてください。

なお、外部人材の受け入れと並行して自社社員の育成も強化したい場合は、営業研修の設計について解説した記事もあわせてどうぞ(参考: 営業研修の種類と選び方|費用相場・外部委託で成果を出すポイント)。

まとめ・よくある質問

育成型派遣は、派遣会社が「採用」と「基礎教育」を引き受け、企業側は基礎を身につけた人材を受け入れて商材知識のOJTから始められる仕組みです。経験者採用の競争が激しく、自社での未経験育成にも半年〜1年の負担がかかるIT営業の領域では、とりわけ合理性の高いモデルといえます。料金は教育投資のぶん高めになる傾向がありますが、採用費・教育工数・立ち上がりまでの期間を含めた総コストで比較するのが正しい見方です。

Q. 研修の内容はこちらで指定できますか?

派遣前の基礎研修は派遣会社側のプログラムに沿って行われますが、BCCの場合、配属が決まった人材に対して配属先に合わせた研修を実施する場合があります(出典: https://www.e-bcc.co.jp/outsourcing/lapt-program/ )。任せたい業務や必要なスキルは、依頼時の要件のすり合わせで具体的に伝えておくとスムーズです。

Q. 未経験スタートの人材で、本当に業務が回りますか?

前提として、配属直後の1〜2ヶ月は立ち上げ期間です。そのうえで、営業とITの基礎教育を済ませた人材であれば、受け入れ側のOJTは自社商材に絞れるため、ゼロから育てる場合とは負担がまったく異なります。本文で紹介した事例のように、未経験スタートからグループ3社の営業を担うまで成長したケースもあります。

Q. 良い人材だった場合、直接雇用に切り替えられますか?

直接雇用への切り替えを最初から視野に入れるなら、一定期間の派遣就業を経て双方合意のうえで直接雇用に移行する紹介予定派遣という仕組みがあります。

BCC株式会社(IT営業アウトソーシングカンパニー)は、IT業界に特化した営業派遣サービスを提供しています。 ご提案する人材はすべて自社採用のBCC社員で、独自開発の「BCC-LaPTプログラム」で営業スキルを習得したうえで現場に入ります。 人材のご提案から受け入れ後のフォロー、法令対応まで一貫してサポート。 「営業の人手を増やしたい」「まずは進め方を知りたい」という段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

課題解決事例・サービス詳細を見る 無料相談・お問い合わせ