ATM(Asynchronous Transfer Mode)は、ネットワーク通信のための通信プロトコルの一つです。ATMは、異なる種類のデータ(音声、ビデオ、データなど)を統一されたセルと呼ばれる固定長の小さなパケットに分割し、これらのセルをネットワーク上で転送する方式です。
■利用シーンについて
広域ネットワーク(WAN): ATMは、通信事業者や企業の広域ネットワークで利用されていました。異なる拠点間でデータ、音声、ビデオなどのトラフィックを統合的に扱い、高い伝送速度と品質を提供することができました。企業が複数の拠点を持ち、それらを結ぶために使用されたことがあります。
バックボーンネットワーク: ATMは通信事業者のバックボーンネットワークで使用され、大量のデータを高い速度で転送するために適していました。これは、通信事業者が異なる地域や国をつなぐために利用された例です。
ビデオ・オン・デマンド(VOD): ATMは、ビデオ・オン・デマンドなどの高品質なマルチメディアコンテンツの伝送に使用されました。高い伝送速度と品質の維持が重要な要素であり、ATMはこれらの要件を満たすために採用されました。
音声通信: ATMは音声通信にも適しており、高品質の音声通話を提供するために使用されました。企業の音声通信網や、一部の通信事業者の音声サービスにおいて利用されました。
ただし、ATMは一部の用途でのみ採用され、一般的な家庭や小規模事業者向けのネットワークには広く普及しませんでした。その後、IPベースの通信技術が進化し、柔軟性と拡張性が向上したため、ATMの普及は減少しました。