営業派遣の活用事例|IT企業の実例をシーン別に解説【企業向け】

営業派遣の活用事例をシーン別に示すイメージ

営業派遣を検討し始めた企業の担当者からよく聞くのが、「仕組みは分かったが、自社のような状況で本当に機能するのか」という声です。新商材の立ち上げ、突然の退職、インサイドセールスの新設。困りごとの中身が違えば、派遣人材に任せる業務も、受け入れ側で用意すべきものも変わります。この記事では、IT企業で営業派遣が使われている典型的な6つのシーンを取り上げ、それぞれ「課題→依頼内容→受け入れ側の工夫→結果」の流れで整理しました。社名や数値を挙げているのはBCC株式会社(IT営業アウトソーシングカンパニー)が公開している導入事例の範囲に限り、それ以外は業種を伏せた典型例として書いています。読み終えたときに、自社の状況がどのシーンに近く、何を準備すれば成果につながりやすいかが見えている状態を目指します。

事例を読む前に:営業派遣で「できること」の範囲

事例を自社に引き寄せて読むために、前提を2点だけ確認しておきます。

ひとつは、派遣人材は自社の指揮命令のもとで働く、という点です。売り方や優先順位を決めるのは受け入れ企業側で、活動の中身は日々社内から見えます。営業活動を丸ごと外に出す委託型とは、ここが根本的に違います。仕組みそのものの整理は営業派遣の仕組み・メリットの記事に譲り、本記事では実際の使われ方に絞ります。

もうひとつは、派遣会社によって「誰が来るか」が大きく違う点です。登録スタッフをマッチングする会社もあれば、自社で採用した正社員を研修してから送り出す会社もあります。後者の例がBCCで、派遣スタッフは全員が自社採用の正社員、IT業界・営業の未経験者が8割以上を占め、独自の教育プログラム「BCC-LaPTプログラム」で営業基礎とITインフラの基礎知識を習得してから現場に入ります。以下の事例で「育成済みの人材」と書いているのは、この意味です。

シーン①:新規事業・新商材の立ち上げで、営業を短期に増員したい

図: 新商材の立ち上げ期に営業体制を短期で増員するイメージ

課題:既存メンバーは既存商材で手一杯

あるSaaS企業では、既存プロダクトの周辺に新しい商材を投入することになりました。ただ、営業チームは既存顧客の更新とアップセルで予定が埋まっており、新商材の初期開拓に割ける人がいません。中途採用を始めたものの、募集から入社までに数か月かかる見込みで、立ち上げの時期に間に合わないのが実情でした。

依頼内容と受け入れ側の工夫

依頼したのは、新商材専任のアプローチ担当です。ターゲットリストへの架電とメール、資料送付、初回のオンライン商談までを任せ、有望案件は既存の営業メンバーに引き継ぐ流れにしました。

受け入れ側で効いたのは、着任前に「新商材の30分レクチャー」と「よくある質問と回答」を用意したことです。派遣人材はITの基礎用語を理解している前提だったので、教えるのは商材固有の価値と競合との違いに絞れました。加えて、SFAへの入力ルールを最初の週に固めておいたことで、活動量と商談化の状況を営業責任者が毎週把握できました。

結果

新商材の初期リードが継続的に生まれ、既存メンバーは商談に集中できる分業が成立しました。立ち上げ期に特有の「まず市場の反応を知る」という役割を、採用を待たずに動かせた点が大きかったようです。派遣期間を区切って始められるため、事業の立ち上がり具合を見ながら体制を調整できる点も、このシーンでは利点になります。

シーン②:営業担当の急な退職・欠員の穴埋め

課題:担当顧客が宙に浮く

ネットワーク機器の販売代理店で、既存顧客を多数担当していた営業が退職を申し出ました。引き継ぎ期間は1か月弱。残ったメンバーが顧客を分担すると、一人あたりの担当数が現実的な範囲を超えてしまいます。更新時期を迎える保守契約もあり、フォローが途切れることが最大の懸念でした。

依頼内容と受け入れ側の工夫

依頼したのは、退職者が担当していた顧客のうち、定期フォローと見積対応が中心の顧客群を引き継ぐ営業担当です。大型案件や関係の深い顧客は社内の中堅メンバーに寄せ、派遣人材には件数の多い定常対応を任せる切り分けにしました。

工夫したのは、退職者が在籍しているうちに顧客ごとの経緯をメモに残し、派遣人材の着任初日から「誰に、何を、いつまでに」が分かる状態にしたことです。ITの基礎知識と営業マナーを身につけた人材であれば、この引き継ぎ資料と数回の同行で顧客対応に入れます。

結果

保守更新の案内が予定どおり進み、既存顧客からの「担当が変わって連絡が来なくなった」という声を防げました。なお、BCCの場合、人材の提案までは最短3営業日とされています(出典: 課題解決事例)。提案までの期間と、契約締結を経て就業が始まるまでの期間は別なので、欠員対応でスケジュールを組む際は分けて確認してください。退職・欠員時の対応手順は、同時公開の関連記事でも整理しています。

シーン③:インサイドセールス部門の新設

課題:リードは増えたが追いかける人がいない

あるクラウドサービス事業者は、Web広告と展示会でリードを獲得できるようになった一方、そのフォローを既存のフィールド営業が片手間で行っていました。初回連絡が遅れ、せっかくのリードが商談化しないまま眠っていく。インサイドセールスの必要性は分かっていても、社内には立ち上げ経験者がいません。

依頼内容と受け入れ側の工夫

依頼したのは、インサイドセールスの実働メンバーです。マーケティングから渡されたリードに対し、架電とメールで状況をヒアリングし、確度の高いものをフィールド営業に引き渡す役割を担いました。

ここで受け入れ側が用意したのは、トークスクリプトの初版と、フィールド営業に渡す「商談化の基準」です。基準が曖昧だと、インサイド側とフィールド側で「これは商談ではない」というすれ違いが起きるためです。最初の1か月は週次でスクリプトと基準を見直し、派遣人材からの「顧客はここで断ってくる」という現場の声を反映しました。

結果

リードへの初回連絡の遅れが解消し、フィールド営業は確度の高い商談に時間を使えるようになりました。派遣人材の活動ログがそのまま「インサイドセールスの運用マニュアル」の原型になり、後から社員を配置する際の土台にもなっています。部門立ち上げの段取りはインサイドセールス立ち上げの記事で詳しく扱っています。

シーン④:パートナー営業・既存顧客フォローの分業

課題:新規開拓とパートナー対応を同じ人が抱えている

セキュリティ製品を扱うベンダーでは、販売パートナーへの情報提供やキャンペーン案内、案件の進捗確認といったパートナー営業と、エンドユーザーへの新規提案を、同じ営業担当が兼務していました。どちらも重要ですが、性質がまったく違います。新規提案に注力すればパートナーとの接点が薄れ、パートナー対応に時間を割けば新規の商談が減る、という綱引きが続いていました。

依頼内容と受け入れ側の工夫

依頼したのは、パートナー営業の担当者です。パートナー各社への定期的な連絡、案件登録の確認、販促資料の展開、勉強会の案内といった業務を集約しました。受け入れ側は、パートナーごとの担当者一覧と、これまでのやり取りの履歴をCRMに整理したうえで着任を迎えました。

結果

社員はエンドユーザーへの提案に集中でき、パートナーからは「連絡が定期的に来るようになった」という反応が返ってきました。分業によって、どちらの活動も途切れなくなった形です。

公開事例:開発出身の組織に「伝える営業」を置いた日本電気株式会社

分業という観点で参考になる公開事例が、日本電気株式会社のデータストレージ部門でのBCC営業派遣の活用です(出典: 導入事例:日本電気株式会社)。同部門は開発出身のメンバーが多く、「お客様視点でわかりやすく伝える営業力」の不足が課題でした。派遣スタッフは2名からスタートし、開発者と顧客の間に立つ橋渡し的な存在として機能。自発的に案件を発掘し、大型ソリューション案件の獲得にも貢献したとされています。導入事例ページでは、この取り組みが10年を超えて継続し、現在も複数名の体制が続いていると紹介されています。技術に強い組織ほど、「伝える」機能を分業で補う価値が大きいことを示す事例です。

シーン⑤:営業事務の切り出しで、営業担当を商談に集中させる

課題:営業の時間が見積と受発注に消えている

あるシステムインテグレーターでは、営業担当が見積書の作成、受発注処理、納期の確認、請求の準備までを自分で行っていました。ライセンスの数量やサブスクリプションの更新が絡む商材だけに、事務作業は正確さが求められ、時間もかかります。営業日報を見ると、商談に使えている時間は勤務時間の半分にも満たない状態でした。

依頼内容と受け入れ側の工夫

依頼したのは、営業事務の担当者です。見積作成の下準備、受発注システムへの入力、納期照会、SFAの更新代行を任せ、営業担当は顧客との対話に専念する体制にしました。

受け入れ側は、業務を「営業が判断するもの」と「ルールに従って処理できるもの」に分け、後者を手順書にしてから引き渡しました。ITの基礎用語が分かる人材だったため、製品名や契約形態の説明に時間を取られなかったことも大きかったようです。

結果

営業担当の商談時間が回復し、見積の出し忘れや入力漏れも減りました。営業事務の派遣で任せられる業務の範囲や依頼のポイントは、営業事務派遣の記事を参照してください。

シーン⑥:未経験人材を育成して長期で戦力化する(育成型派遣)

課題:営業5人、応募が集まらない

ここからは、BCCが公開している導入事例をもとに書きます(出典: 導入事例:製造系の東証プライム上場企業の子会社)。導入したのは、製造系の東証プライム上場企業の子会社。社員約350人のうち8割が技術系で、営業はわずか5人。増員したくても「条件に合致する人材の応募が少なく」、採用が進まない状況でした。

依頼内容と受け入れ側の工夫

同社が受け入れたのは、LaPTを修了したIT営業未経験の若手人材です。配属前には、同社の商品・サービスに関する研修に加えて、ExcelやPowerPointでの資料作成研修まで実施されました。派遣会社側の基礎教育と、受け入れ企業側の商材教育が、配属前の段階で噛み合った形です。

結果

同社は「営業の業務やIT知識の基礎的な部分は、BCCで身に付けていた」と評価しています。この人材は基幹システム更新プロジェクトに参画し、現在ではグループ企業3社の営業担当へと役割を広げました。未経験からのスタートでも、派遣前の育成と配属前後のフォローが揃えば、1社の増員要員にとどまらない存在まで育つことを示しています。

育成型派遣は、配属直後から単独で受注を量産するモデルではありません。最初の1〜2か月を立ち上げ期間と捉え、同行や商材レクチャーの時間を確保した企業ほど、その後が安定します。仕組みの詳細は育成型派遣の記事にまとめています。

事例から分かる、うまくいく企業の共通点

図: 営業派遣の活用がうまくいく企業に共通する要素

6つのシーンを並べてみると、業種も課題も違うのに、成果につながった企業には似た動きがあります。

任せる業務を、着任前に切り分けている。 「営業を1人増やしたい」ではなく、「新商材の初期アプローチ」「定常フォローの顧客群」「見積と受発注」というように、業務の単位で依頼しています。切り分けが明確なほど、派遣会社側も合う人材を提案しやすく、着任後の立ち上がりも速くなります。

基礎教育は外に、商材教育は内に置いている。 営業マナーやIT基礎は派遣会社の研修に任せ、受け入れ企業は自社商材と顧客に関する教育に集中しています。シーン⑥の配属前研修が典型です。「全部教える」でも「全部任せる」でもない役割分担が機能しています。

活動を見える化する仕組みが最初からある。 SFA/CRMの入力ルール、商談化の基準、週次の振り返り。派遣人材は自社の指揮命令下で働くので、活動が見えていれば軌道修正が早くできます。逆に、ここが曖昧な企業では「何をしているのか分からない」という不満が出やすくなります。

配属後のフォローを、派遣会社と一緒に回している。 BCCは「配属してからが本番」を掲げ、常駐リーダーによるデイリーフォロー、定期ヒアリングと社内営業会議での共有、個別研修、コンプライアンス研修という4層のサポートを重ねています(出典: 私たちの強み)。受け入れ企業側の1on1や同行と、派遣会社側のフォローが両輪になっている企業ほど、定着と成果の両方が安定します。

長期で使う前提を持っている。 シーン④の日本電気株式会社や、シーン⑥の育成型事例のように、営業派遣を「一時的な穴埋め」ではなく営業体制の恒常的な一部として位置づけている企業があります。無期雇用派遣であれば派遣受け入れ期間の制限も適用されないため(出典: よくあるご質問:無期雇用派遣とは)、長期活用の設計がしやすくなります。

こうした共通点は、BCCの課題解決事例ページに掲載されている各事例にも表れています。自社の状況に近い事例を探す際の参考にしてください。

事例を自社に当てはめる際のチェック項目

読んだ事例をそのまま真似ても、自社の状況が違えば同じ結果にはなりません。依頼前に、次の項目を確認しておくと判断がぶれにくくなります。

業務の切り分け

  • 派遣人材に任せる業務を、具体的な作業の単位で書き出せているか
  • 「社員が判断する部分」と「ルールに沿って処理できる部分」を分けているか
  • 引き継ぎ資料や手順書を、着任前に用意できる見込みがあるか

受け入れ体制

  • 指揮命令者と、日々の相談に応じる社員を決めているか
  • 最初の1〜2か月を立ち上げ期間として、同行や商材レクチャーの時間を確保できるか
  • SFA/CRMの入力ルールと、活動を振り返る場(週次など)があるか

派遣会社の見極め

  • IT商材の商談に入れる人材を提案できる会社か(IT業界への理解、導入実績)
  • 人材をどう育てているか(研修の内容と期間、配属後のフォロー体制)
  • ミスマッチを防ぐプロセスが整っているか
  • 費用の内訳と根拠を、個別の見積もりで説明してもらえるか。単価は人材のレベルと教育体制で幅があり、教育投資が厚い会社ほど高い傾向にあります
  • マージン率や教育訓練の状況を、法定の情報提供で開示しているか

法令面

  • 派遣先責任者の選任と派遣先管理台帳の整備を、社内で誰が担うか決めているか
  • 有期雇用派遣の場合、受け入れ期間の制限(同一組織単位で原則3年)を踏まえた計画になっているか

すべてが揃っていなくても構いません。空欄になった項目を派遣会社に相談すること自体が、依頼の質を上げる第一歩になります。

よくある質問

Q. 事例のような成果が出るまで、どれくらいの期間を見ればよいですか?

任せる業務によって異なります。営業事務や定常フォローのように手順が明確な業務は、引き継ぎ資料が揃っていれば比較的短期間で回り始めます。新規アプローチやインサイドセールスのように商材理解と対話の慣れが必要な業務は、最初の1〜2か月を立ち上げ期間と考え、その間の同行やフィードバックを計画に入れておくと安定します。

Q. 事例に出てくるような大手企業でなくても利用できますか?

営業派遣は企業規模で制限される仕組みではありません。本記事のシーン⑥のように、営業5人の組織で受け入れた事例も公開されています。むしろ営業人数が少ない企業ほど、採用と初期教育の負担を外部に置ける効果は大きくなります。

Q. 未経験スタートの人材で、事例のように長期で戦力になりますか?

派遣前の基礎教育と、配属前後のフォローが揃っているかどうかで大きく変わります。シーン⑥の事例では、派遣会社の研修に加え、受け入れ企業が配属前に商材研修を実施し、結果としてグループ3社の営業を担うまでに成長しました。受け入れ側の商材教育と、派遣会社側の継続フォローを両輪で回すことが前提です。

Q. 複数のシーンに当てはまる場合、どこから始めるべきですか?

まず「社員にしかできない業務」と「切り出せる業務」を分け、切り出せる業務のうち、いま最も社員の時間を奪っているものから始めるのが現実的です。営業事務や定常フォローの切り出しは効果が見えやすく、その後にインサイドセールスや新商材のアプローチへ広げていく順番を取る企業が多いようです。

まとめ

営業派遣の活用は、「人が足りないから1人補う」という単純な話ではなく、どの業務を切り出し、誰が指揮命令し、どう立ち上げるかを設計することで成果が決まります。本記事で見た6つのシーンは課題も業種も異なりますが、うまくいった企業には、業務の切り分け、基礎教育と商材教育の役割分担、活動の見える化、派遣会社と両輪で回すフォロー、長期活用の前提という共通点がありました。公開されている事例では、未経験スタートの人材がグループ3社の営業を担うまで成長した例や、技術部門の橋渡し役として長期にわたり体制が続いている例もあります。自社に当てはめる際は、チェック項目で空欄になった部分を把握し、派遣会社に相談するところから始めてください。

BCC株式会社(IT営業アウトソーシングカンパニー)は、IT業界に特化した営業派遣サービスを提供しています。ご提案する人材はすべて自社採用のBCC社員で、独自開発の教育プログラム「BCC-LaPTプログラム」で営業スキルを習得したうえで現場に入ります。人材のご提案から受け入れ後のフォロー、法令対応まで一貫してサポート。「本記事のどのシーンに近いか整理したい」「まずは進め方を知りたい」という段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

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